「Ｆ．＋２」感想 その２

台本から粕谷と中山をイメージして、ソワレ観劇。

あっ。。なんか違う。

虎ノ介さんの粕谷は、可愛いくて、哀しい男。

いたずらっ子のような上目遣いの表情は、
微笑み返しちゃったぐらい、可愛い。
殴られるのはイヤだけど、なんでもしてあげたいよ。
お下劣な言葉を連発するくせに、
「知らない女の子が来ると構え」る純な奴。

そして、
１つが欠けたら、全てが崩れ落ちてしまいそうな男。

中山は台本の印象より、もっと骨太の気がした。
RON×Ⅱさん自身の投影かな？
黙々と進む、「東北の男」だ。

恋人・綾子にも逃げられ、（私はそう思う）
自分を慕っていた中山にも置いていかれそうな粕谷。

「好き」なのに、「感謝している」のに、
「攻撃」的な言葉でしか、表現できない。
ヤツあたりして、酒びたりになって、自分では何もしようとしない。

身勝手な弱い男。

粕谷の一言一言は、
「嫌悪、憎悪が露出し」と言うより、「哀しい叫び」に聞こえた。

最後の場面は圧巻。
COOLな虎ノ介さんの、熱い役者魂を見ることができて
とても感激した。

ただ、ここまで感情を投げつけられると
「それはアンタが弱いだけじゃないの？」と
冷めた見方で引いてしまうタチなので
粕谷に感情移入もなく、演技を堪能するのみ。

コルガバの方が、登場人物に気持ちが入りやすかった。
こういう難しい芝居はちょっと苦手。

卑猥な話の間に挟まれる、
粕谷の知識の深さがわかる会話は
猛スピードで流れていくようで、
卑猥な言葉だけが印象に残った。

そのせいか、粕谷の「知性」より「下品」が強くなって
中山の「先輩は誰にも書けないセリフを書く」の言葉に
説得力がなかったし、
粕谷が中山から慕われる男には見えなかった。

他に気になったのは
粕谷のセリフで、台本では「ほとんど中曽根」が、
舞台では「ほとんどパトリオット」（多分）になっていたと思う。
これだと会話の流れと全然合わないし、
粕谷への印象も変わってしまう。

「平田オリザ」も「カシヤルリコ（カスヤルリコ？」に変わっていた。
これって誰？　「平田オリザ」のままでいいと思うけど。

坂本九やブロンソンを削るのは致し方ないが
この変更はどうなんだろう？　これも「役者に合わせた演出方針」なのか？

・・・と、好き放題な感想（笑）

虎ノ介さんにとって、「Ｆ．＋２」は苦労の多い舞台だったと思うが
この経験は必ず生かされて、
次は、さらにステップアップした虎ノ介さんに逢えると思う。

その日がとても待ち遠しい。

お疲れ様でした。
素晴らしい舞台をどうもありがとうございました。